
立派なハイウエイ、建ち並ぶ近代的なビル群、地下鉄など整備された都市交通。首都カラカスの町はコロニアル風の古い建物はあまり目につかず、高層ビルばかりが視界に飛び込んでくる。その都市化した姿は、どこかアメリカ的な機能優先の町のように見える。石油のもたらした豊かさが、この国の急速な近代化と都市化を生んだ。ベネズエラは世界でも有数の産油国であり、輸出総額の7割以上を石油が占めている。近代化とともに人々のらしも大きく変わっていった。一部の大土地所有者が支配するかつての植民地社会構造から、中産階級を生み出す社会へと変化し、教育水準も高まった。また、農村から都市へと人は流れ、農業、牧畜業は衰退(食料の半分以上を輸入に頼るほど)し、工業、サービス業中心の社会が出来上がった。都市人口の増加に伴い、確かに新たな問題も現れてはいるが、生き生きとしたエネルギーあふれるカラカスの姿は、南米の明日を感じさせる力に満ちているカラカスやマラカイボといった大都市を離れると、ベネズエラはまったく違った姿を見せてくれる、マルガリータ島をはじめ、カリブ海の魅力的な島々、アンデス山脈の山々、オリノコ川が育む豊かな平原、そして未開のギアナ高原、こうした雄大な大自然が、手つかずのまま残されている。臨海地帯の観光開発に続き、内陸地帯にも観光案内や宿を始めとするサービス態勢が整い出し、奥地にも入りやすくなった。とはいえ、辺境にはまだ裸族が暮らす深い森があり、そ の全貌は旅行者にはまだまだ閉ざされたままである。

国名 | ベネズエラ |
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正式国名 | ベネ ズエラ・ボリバル共和国 Republica Bolivariana de Venezuela(日本の外務省は英語の国際的表記に準じて、ヴェネズエラ・ボリバル共和国 Bolivarian Republic of Venezuelaとしているが、スペイン語の発音では「ヴェネスエラ」と“ス”が濁らない。また、日本のマスコミの表記は「ベネズエラ」が一般的であ り、本サイトもそれに応じて従来とおり「ベネズエラ」と本文中で表記する) |
国歌 | ベネズエラ国歌 |
面積 | 91万2050km2 日本の約2.5倍 |
人口 | 2550万人(2003年) |
首都 | カラカス Caracas |
元首 | ウーゴ・チャベス・フリアス大統領 Hugo Chavez Frias(1999年2月就任。任期は2007年1月まで) |
政治体制 | 大統領を最高権力者とする立憲共和制 |
民族構成 | スペイン系白人とインディヘナ、もしくは黒人との混血約66%。白人約22%、黒人約10%、先住民部族であるインディヘナ2%。 |
宗教 | カトリック95%、わずかながらプロテスタント。 |
祝祭日 |
1月1日 元日 1月6日 顕現日(キリスト教) 2月下旬〜3月上旬 カーニバル 3月19日 サン・ホセの日 3月下旬〜4月上旬 聖週間 4月19日 独立宣言記念日 5月1日 労働者の日 6月24日 カラボボ戦勝記念日 7月5日 独立記念日 7月24日 ボリーバル生誕記念日 9月4日 公務員の日 10月12日 民族の日(コロンブス・デー) 11月1日 全聖者の日 12月25日 クリスマス 12月31日 大晦日 |
その他 | 【おもな産業】 世界有数の原油産出国のひとつで、石油関連の産業が7割以上を占める。また、鉱物資源も豊富で、鉄、ボーキサイト、金、銀、銅、ダイヤモンドなどが産出されている。日本へはアルミ、鉄鋼石、石油製品などが、日本からは自動車、機械類や電気製品が輸出入されている。 |

通貨と為替レート | 通貨単位はボリーバルBolivalで略号はBs.。ボリーバルの下にセンティモCentimo(¢)があり¢100=Bs.1だが、現在はほとんど使われていない。紙幣はBs.5、10、20、50、100、500、1000、5000、10000、50000、コインはBs.1、2、5と¢5、25、50 があるがほとんど流通していない。 |
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両替 | 日本円からボリーバルへの両替はできないので、通貨はUS$で持っていくといい。US$からの両替なら、手数料は取られないことが多い。この国では銀行での両替は一般的ではなく、両替屋イタルカンビオItalcambio(Casa de Cambioともいう)で両替をする。カラカス市内なら町のあちこちにあるので、人に聞けば教えてくれる。店によって若干レートが違うので、いくつか回ってみるといい。出国時に再両替するには、両替のレシートとパスポート、航空券(コピー可)が必要。ただし、金額の30%までしか再両替できないので、余ら せないように上手に両替しよう。 |

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ベネズエラは国土全体が、熱帯圏に含まれているが、気温は土地の高度により大きく変化する。海岸線の低地やオリノコ川流域などは、年平均でも28度近くまで上がる灼熱の地だが、カラカスなどのように標高約1000mになると、年平均気温は21度で思ったよりもしのぎやすい。確かに日中の日差しは強いが、夜など は冷房を止めても寝苦しくはない。さらに、メリダのように標高1600mまで上がると、昼間でも冷房の必要を感ないほど過ごしやすくなる。
季節は雨期と乾期に分かれる。カラカスの位置する中央平原は4〜10月が雨期、11〜3月が乾期となる。南部のギアナ高地などは年間3000mmと降水量が多く、雨期は毎日のようにスコールが数時間続く。 【カラカスの月別平均気温と降水量】 ![]() |
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日本との時差は-13時間。日本が夜の20:00のとき、ベネズエラは朝の7:00。サマータイムは実施されていない。 |
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【地理と風土】 南米大陸の北端、北はカリブ海、東は大西洋に面するベネズエラは、北緯0度45分から12度12分、西経59度45分から73度11分に位置している。面積は、日本の約2.5倍。大きく4つの特色ある地域に分けることができる。 【マラカイボ低地】 北西部のマラカイボ湖を取り巻く低地帯。マラカイボ湖は、およそ1万400m2の面積をもつ南米最大の湖。ベネズエラ湾からカリブ海に続き、湖水はやや塩分を含んでいる。ベネズエラの石油の80%が、この一帯から産出される。 【ベネズエラ・アンデス】 南米大陸を貫くアンデス山脈の北端が、コロンビアからベネズエラのメリダ山脈、北部沿岸のラ・コスタ山脈へと続いている。メリダ山脈に国内最高峰のピコ・ボリーバル(標高5007m)をはじめ、4000m級の山々が86座も連なっている。さらに高原となってカリブ海に沿って東進、ラ・コスタ山脈はカラカス付近まで延びている。これらの山地は、肥沃な渓谷部で農牧畜業が盛ん。また、高度が高くなると過ごしやすくなることら、酷暑の低地を避けて標高1000m 以上の土地が開拓されたこともあり、今日でも最も開発の進んだ地域となっている。首都のカラカスは最北部の沿岸近くにある。 【リャノス(平原)地帯】 山脈の南、ベネズエラの中央部は、南米第3位の大河、オリノコ川が流れるサバンナ平原が広がっている。国土の35%を占める大草原地帯だが、乾期は極度に乾燥し、雨期は河川が氾濫して道路を寸断するなど、開拓者たちを悩ませ、開発は遅れていた。だが、徐々にダム建設や治水事業が行われ、農地化や牧場化が進ん でいる。また、中・下流域では地下資源を活用して工業化(石油、鉄鉱)への取り組みが続いている。 【マシーソ・グアヤーネス(ギアナ高地)】 オリノコ川の南に、深い密林に包まれたギアナ高地がある。国土の半分を占める広大な地域は、そのほとんどが未開のまま。常に厚い雲に覆われているため、つい最近まで衛星写真を撮ることもできなかったという秘境だ。テーブルマウンテンの奇観や979mという世界最大の落差を有する滝、エンジェルフォールは有名。 |